「再加熱すれば大丈夫」と考えない

家庭では「2日目のカレー」は当たり前かもしれません。しかし、お客様に販売する食品として考えると、話は別です。食中毒のリスクを考えると、前日の残りを翌日の販売に回さないほうがよい。これは私たちの運営上の強い意見です。リスクを減らす運営方針として、翌日に持ち越さない考え方を勧めています。
カレーで注意するのは、ウェルシュ菌

カレーなどの煮込み料理では、ウェルシュ菌による食中毒に注意が必要です。この菌は加熱に耐える芽胞をつくるため、通常の加熱をしたことだけで安全とは判断できません。大鍋で煮込んだものをゆっくり冷ましている間に、酸素の少ない内部で菌が増えることがあります。
つまり、「一度しっかり煮たから」「翌日また温めたから」は、安全の根拠にならないということです。
問題は「前日」という日付ではなく、管理

正確に言えば、「前日に調理したカレーは、どんな管理をしていても一律に提供禁止」ということではありません。問題になるのは、前日に調理したという日付だけでなく、冷却、保管温度、保管時間、再加熱などの管理です。
保存する場合には、浅い容器などに小分けして速やかに冷却し、適切に冷蔵・冷凍します。再加熱する際は、全体をよく混ぜて中心まで十分に加熱する。冷却・保管からの一連の管理があって、初めて成り立ちます。
ただし、これは「常温で放置したカレーでも、後から加熱すれば救済できる」という意味ではありません。管理できていないものを、再加熱だけを根拠に販売しないでください。当日調理したものでも、不適切に長時間放置してよいわけではありません。
運営方針として、持ち越しに頼らない

一連の管理を毎日確実に実行できる体制があるなら、それは自店の衛生管理計画の中で決めることです。ただ、私たちの結論は単純で、翌日への持ち越しに頼らない販売を考える、ということです。作りすぎない仕込み量を決め、売り切る設計にする。それが一番のリスク対策です。
「再加熱すれば大丈夫」と考えない。食中毒リスクを避けるため、翌日への持ち越しに頼らない販売を考える。
この記事の主張は、翌日販売を簡単に勧めることではなく、「再加熱だけを安全の根拠にしない」という点にあります。
確認しておきたいこと

多くの食中毒菌が増えやすい危険温度帯(10〜60℃)に、食品を長く留めないこと。食品の温度と、置かれた時間を管理します。
自店の衛生管理計画で、冷却の条件、保管温度、再加熱の確認方法を決め、実測温度・時刻・担当者を記録してください。安全を確認できない食品は提供しないでください。
参考:食品安全委員会・ウェルシュ菌 ↗ / 厚生労働省・テイクアウトの食中毒予防 ↗ / 小規模な一般飲食店の手引書(概要版PDF) ↗

