「人がいる」と「自分の店で買う」は別の話

商業施設の出店は、来場者数だけを見れば魅力的に見えます。ところが実際に出てみると、通行量のわりに売上が伸びない、という経験をする人が少なくありません。私たちが現場で見てきた理由は、大きく4つに整理できます。
理由1:競合が多く、埋もれてしまう

施設の中には飲食店や食品売り場があり、お客様には最初からたくさんの選択肢があります。その中でキッチンカーは「外にある、もう一つの選択肢」にすぎません。並んでいる店の数が多いほど、自分の店は埋もれます。
理由2:わざわざキッチンカーで買う必要がない

施設の中で同じようなものが買えるなら、外に出てキッチンカーで買う理由は弱くなります。「中で済む」ものを外で売っても、選ばれにくいのは当然です。
理由3:商品や出店内容に目新しさがない

ただ車が来て販売しているだけでは、お客様の興味を引けません。足を止めてもらうには、商品そのものか、出店の見せ方に「おっ」と思わせる要素が要ります。
理由4:出店が日常になり、特別感がなくなる

最初は珍しくても、同じような出店が続けば、普段の風景の一部になります。施設の常連客にとってキッチンカーが「いつもある景色」になった時点で、立ち寄る動機は薄れます。
見るべきは人数ではなく「選ぶ理由」

4つに共通するのは、人の多さの問題ではなく、その人たちが「なぜ自分の店で買うのか」という理由の問題だということです。出店を決める前に、その施設のお客様が、館内の選択肢ではなく自分の店を選ぶ理由を、具体的に言えるかどうかを確かめてください。言えないなら、人数がいくら多くても厳しい現場です。
「人がいる場所」ではなく、「自分の店を選ぶ理由がある場所か」を見る。
この見方は商業施設に限りません。イベントでも公園でも、その人数のうち何人が自分の前を通り、何人が自分の店を選ぶ状態にあるかで判断すると、外しにくくなります。
